歯車族バトン
2018/02/14
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USEN-NEXT島田「時計で自己演出する男の審美眼とは?」3 - 時計は日常のストレスリリースにもなる

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第3回「時計は日常のストレスリリースにもなる」

広田: でもそこまで自分なりの形やスタイルができてしまうと、崩したくなったりしませんか。

島田: しますよ(笑)。だからたまにGショックの限定モデルなんかを買ったりして。最近、遊びでDJをやっているので、普段つけないごっつい眼鏡や時計をしています(笑)。そんなシーンに応じて、自分の見せ方を変えるのにうまく使っています。

広田: スイッチみたいな感じ?

島田: はい。スイッチ入りますよね。

時計や車など、決して主張しすぎないセレクトをされる島田氏のセンスに、大きくうなずく広田氏。

広田: 時計は確かにそうですよね。自分の生きている環境はなかなか変えられないけど、持ち物を変えて気分を変えるっていうのは確かにあります。逆に勝負時計とは言わないまでも、ビシっとしたい時につける時計はおありですか。

島田: 仕事で勝負時計というと、やっぱり「ランゲ1」ですかねぇ。だから今日は僕の中でも一番真面目で上品な格好をしてきました(笑)。白のシャツに無地のネクタイをして、靴は黒のエドワードグリーンに時計はランゲ。

広田: 確かに(笑)。それは相手に与える印象ということもありますね。

島田: ランゲは一番誠実で、とても正確に正しくブライトに仕事をする感じが出るかなと思います。持っていないですけど、グランドセイコーのシンプルなSSとか、ああいうのがいいなと思います。

A. ランゲ&ゾーネ リヒャルト・ランゲ “プール・ル・メリット”
ゼンマイの巻き始めと巻き終わりのトルクを安定させ歩度を一定に保つ為に用いられた
鎖引き(チェーンヒュジー)による動力伝達機構を腕時計に搭載した限定モデル

広田: そのバランス感覚ってすごい。時計を意図的に変えることで、気分を変えたり、自分の中の平穏やあり方を保つことを積極的にやっていらっしゃる。

島田: そうですね。でもそれは楽しみ方であって、日常でのストレスリリースでもあります。そんなところも工夫して楽しまないと。

広田: キツい時こそ気に入った時計を見て、精神を安定させる。

島田: 仕事は楽しいけど大変ですから、やっぱり(笑)。最近はヴィンテージウォッチにも惹かれてます。たまたまミッレ・ミリアを見る機会があって。そうするとやっぱり古いクルマには独自の楽しさや魅力というのがあり、はたと時計もそうだなぁと気がついて。

広田: 旧車にもお乗りですか。

島田: ええ。MGAの後期型で1600です。

広田: さすがにバランスとれていますね。普通に手に入って修理費もそんなに高くなくてスタイリッシュ。すごく合点がいきました。自分なりの枠組みや審美眼をはっきりお持ちで、それを時計だったり、クルマだったり、あらゆるジャンルに注いでいる。

島田: ありがとうございます、細かいところまで(笑)。

広田: 持ち物や社会的立場にどうしても引っ張られてしまうというか、そういう人は少なくないのですが、そうじゃないのが素敵だなと思いました。

島田: 自分自身がしていて恥ずかしくないかどうかなんだと思いますね。違和感を感じちゃうともう駄目。でもそろそろつけてみたいなと思っている時計がパテックフィリップなんですよ。これまでは「ちょっと早いかな」と思っていたんですけど。そろそろ53歳になるし、いい頃かなと思っていて。

広田: 「ノーチラス」とかお似合いだと思いますよ、絶対。島田さんのバランスのとれた感じにはまるんじゃないでしょうか。

対談を終えて、笑顔のお二人。

今回で、USEN-NEXT HOLDINGS 取締役副社長COO 島田亨氏との歯車族対談は終了です。
次回は、株式会社ダイニングイノベーション 代表取締役会長 西山 知義氏の歯車族対談をご紹介します。

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広田雅将さん

広田 雅将
Masayuki Hirota

時計ジャーナリスト・時計専門誌『Chronos日本版』編集長

1974年大阪府生まれ。会社員を経て、時計専門誌クロノス日本版編集長。国内外の時計賞で審査員を務める。監修に『100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』『続・100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』(東京カレンダー刊)が、共著に『ジャパン・メイド トゥールビヨン』(日刊工業新聞刊)『アイコニックピースの肖像 名機30』などがある。時計界では“博士”の愛称で親しまれており、時計に関する知識は業界でもトップクラス。英国時計学会会員。

島田 亨さん

島田 亨
Toru Shimada

USEN-NEXT HOLDINGS 取締役副社長COO

東海大学文学部広報学科広報メディア課程卒業後、株式会社リクルートに入社。1989年、株式会社インテリジェンスを宇野康秀、鎌田和彦、前田徹也らと創業、1995年に取締役副社長に就任。1999年にインテリジェンス退社後は、エンジェル投資家として活動し、株式会社シーズホールディングス代表取締役、株式会社日光堂(現株式会社BMB)取締役副社長、株式会社楽天野球団代表取締役社長、楽天株式会社取締役執行役員 プロスポーツ事業カンパニー社長、フュージョン・コミュニケーションズ株式会社代表取締役社長、楽天株式会社 アジアRHQ準備室担当役員、代表取締役副社長などを歴任。2017年、株式会社U-NEXT取締役副社長COOに就任する。

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