9月28日(土)、日本橋三越本店では「10分でキレイに結ぶ 帯結びの基本」(世界文化社刊)の出版記念として監修の弓岡勝美先生ときものSalon古谷尚子編集長によるトークセッション&帯結びレクチャーのイベントを開催いたしました。
弓岡先生はテレビや雑誌、広告などできものの着付けやコーディネートを手がける他、青山にあるアンティーク・リサイクルきもののお店「壱の蔵」や和文化を伝承する「和ぶんか塾」を主宰。着付けや紋様に関する著書も多く、幅広くご活躍されています。
早速イベントの様子をご報告します。
美しいきものの装いに必要なのは帯の力
まずは弓岡先生がきものと帯の関係をお話しくださいました。
弓岡先生「きものを着る上で、帯の役割というのはとても大切です。(帯を巻いていない状態のトルソーを指して)この状態だと物足りないでしょう? 帯によってきものの見え方は随分と変わってくるんです。ピタリと相性のよいきものと帯が出会ったら一期一会。最高のカップルの誕生です。他の帯と合わせて「素敵だな」と思うときもありますけどね。人間だったらトラブルになってしまいますね(笑)。とにかく、きものの世界で大事なのは帯の力だと思っています。今日は装いにおいて大切な帯の魅力を引き出すコツなどをお話ししたいと思います。」
大切なのは自分と帯のサイズを知っておくこと
まずは帯結びを美しく仕上げるためのコツをお二人に話していただきました。
弓岡先生「袋帯、なごや帯、半巾帯。どれにも共通していることは胴にふた巻きするということ。しかし、実はここが帯結びのやっかいなところなのです。ふた巻きの仕方によってたれ先が足りなくなったり、手先が長すぎたりすることがありませんか?」
古谷編集長「これまでの帯結びの本はたいてい「まず、帯を体に2回巻きます」とだけしか書かれていないんですよね」
弓岡先生「僕が大切にしたいのは、この帯を2回体に巻くという部分なのです。これさえしっかりできれば成功したも同然。ではそのために必要なことは何かというと、ご自身のヒップのサイズと帯の長さをしっかりと把握することです。
例えば340センチのなごや帯。ご自身のヒップが90センチなら、帯はひとまき90センチ以上必要なのは分かりますよね。ふたまきすると180センチ以上。て先には約50センチ必要なので、合計230センチ以上が必要になります。お太鼓になるたれは約110センチなので、ヒップが90センチの女性には340センチのなごや帯ならしめられることがわかります。10分で美しく帯を仕上げるコツは、まずこうしてご自身と帯のサイズを知ることなんです」
古谷編集長「関東巻きと関西巻きでは前帯がポイント柄の場合に出る柄が異なりますよね。好きな柄を出すためにどちらの巻き方にするのがいいのか分かっていると、きものの雰囲気にあったポイント柄を自在に出すことができます。帯をすべて同じに扱うのはなく、それぞれの帯のことを知ってあげることが簡単でキレイな帯結びにつながると思います。
詳しくは今回発売された弓岡先生監修の「10分でキレイに結ぶ 帯結びの基本」でご紹介していますので、ぜひともお手にとっていただけたらと思います。また、人気の半巾帯の本と同様に、自分で結ぶだけではなく結んであげる目線でのHOW TOが載っているのも特徴です。帯結びを極めたい方だけではなく、初心者の方にもわかりやすいコツも満載ですのでぜひご覧ください」
弓岡式・切らない作り帯の作り方&結び方大公開
古谷編集長「そして今回はこの本でもご紹介している目からウロコの弓岡式・切らない作り帯を皆さんにご紹介したいと思います。この作り帯は背中に乗せて結ぶだけ。切らずにクリップだけで作れてしまうところが素晴らしいと思っています」
その後、弓岡先生が説明をしながら作り帯を作ってくださいました。本当に帯を作って乗せるだけで完成。これには参加者の皆さんも感動! 「先生、もう一度教えてください!」とアンコールの声が上がったほどでした。
この作り帯の作り方と結び方は、世界文化社のウェブサイト「家庭画報.com」にあるきものSalon連載「イチから始めるきもの道」にて動画で詳しく説明されています。ぜひ参考になさってください。
古谷編集長「これだけキレイに連続柄をつなげられるのは、机の上でキレイに折ってお太鼓を作るからですよね。例えば旅行前に自宅であらかじめ作って持って行けば、旅先で手軽にしたくができますね」
弓岡先生「短かったり長かったりなど、少し手こずっている帯があったら試してみてください。また、五十肩で後ろに手を回すのがお辛い方にもオススメします。かたちのよい美しい帯結びができますよ」
サイズを測ること、前帯の柄の出方を考えること……。どちらも少し手間だなと感じるかもしれません。でも「ちょっと面倒だな」と思える先に、これまでの悩みを解決するヒントがあるのかもしれません。弓岡先生、古谷編集長、ありがとうございました。
次回は参加者の皆さまからいただいた帯結びに関する質問にお答えいただきます。