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2020/10/22
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日本橋三越本店 ウォッチギャラリーSALON ビジネスマンの選択_4クオンタムリープ(株)代表取締役会長 ファウンダー 出井伸之

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第4回「最後に買うべき時計とは」

僕はモノ作りの会社で育ったこともあって、モノが好き、だから時計も好き

――時計選びには何か基準がありますか。

「自分の好みはさておき、購入には理由が必要なんです。とくに家人には。うまく説得するには、たとえばクロノグラフであれば講演時のカウントダウンに必要だといえば、相手はぐうの音も出なくなる (笑)」。

――うーん、時計愛好家にとっては参考になります(笑)。時計への興味はどのようなところに?

「時計って長い期間をかけて見ていると、その時代が反映されていることがわかります。経済的にイスラム系が潤えば、彼らが欲しいようなデカい時計が増えてきます。そういう変化が面白いですね。国産ブランドの高級レンジは、いまシンガポールで売れてますね。ただよくできていてコストパフォーマンスも高いのだけど、何となく買う気にならない。日本という国は、大量生産・大量消費に侵されちゃっているから、安さへの脅迫観念が強すぎるんじゃないかと思います。だから本当の高級品が出てこない。みんながコスト意識に嵌り過ぎているのかもしれませんね。クルマやカメラだってそうでしょう」。

――普段はどんな時計を愛用されているのでしょう。

「今日着けているのはショパールのミッレミリア、ほかにはフランクミュラーのマスターバンカー、ウブロの初期モデルを着けることも多いです。とくにこれはソニー時代、僕が頼んで特注した、試作機のヒューマノイドロボットのQRIOを文字盤にレリーフにした世界に1本しかない時計です。僕はモノ作りの会社で育ったこともあって、モノが好き、だから時計も好きですね」。


2000年にソニーが開発した二足歩行ロボット「QRIO」をデザインしたウブロ。

――モノというのは、あがりというのはあると思いますか。これを買えば、もうこの趣味はいいというような。

「ないんじゃないですか。好奇心と同じで。ただ80歳を超えてから思っていましたが、昔だったらワインでも『今年のボルドーはいいぞ』とか楽しみにしましたが、あれは10年待たなきゃ飲めないわけです。そうすると今からどのくらい生きているのかなと思うと、あまり買わなくなりましたね。クルマも高級車に乗っても、あまり面白くないと思って。60歳の時に赤いポルシェを買った時は楽しかったけど、そういうのは段々卒業してくると思います」。

――時計はどのように楽しんでますか?

「朝起きて、スケジュールを見る。今日は経団連の会議があって、銀行の人と会食があったりとすれば、それに合わせた格好を考えます。そこで国産の背広を着て、時計も目立たないようにして行くわけです。それがベンチャーの人たちとわいわい立ち話をする日は思い切って派手にするとか。そういう1日のスケジュールによって、洋服や時計も変えて楽しんでいます。これが面白いですね」。

――まだまだコレクションが増えそうですね。

「いやいや、もう。買うにはまた家人への理由を考えなきゃ(笑)」。

取材・構成 柴田充
写真 奥山栄一

 

<ページトップ写真の時計>
インタビュー当日、選ばれたのはショパールのミッレミリア。

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出井伸之さん

クオンタムリープ 代表取締役会長 ファウンダー
出井伸之

1937年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、1960年ソニーに入社。1962年スイスのジュネーブに留学。帰国後、1968年フランスに赴任、ソニーフランス設立に従事。1979年オーディオ事業本部長、1988年ホームビデオ事業本部長を経て1989年取締役就任。広告宣伝本部長、クリエイティブ・コミュニケーション部門長を経て、1994年に常務取締役、1995年に 代表取締役社長に就任し、会長兼CEO、取締役 代表執行役 会長兼グループCEOを歴任。10年に渡ってトップを務め、ソニーの変革に力を注ぐ。2005年6月会長兼グループCEO退任後、2006年9月クオンタムリープ株式会社を設立。大企業変革支援やベンチャー企業の育成支援活動を行う。NPO法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブ理事長。社会運動「アドベンチャービレッジ」村長。2020年4月より現職。

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