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2019/04/12
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【WWF2019】SIHH&BASEL REPORT 2019 Vol.1 By 日本橋三越本店

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去る1/14〜17、SIHH 2019(Salon International De Haute Horlogerie=国際高級時計展示会)がスイス・ジュネーブで開催されました。第29回を迎え、世界中からの新作時計への熱い注目は変わらぬものの、今年はまた違った意味から関心を集めたのです。

新たな取り組みへの挑戦が新時代を予感させる

ライフスタイルの変化や技術革新が進み、転換期にある時計において合同展示会のあり方も見直されています。双璧をなすバーゼルワールドではスウォッチグループが出展を取りやめ、SIHHでもオーデマ ピゲとリシャール・ミルが今年を限りに出展を終えることを発表。こうした危機感からか、開催時期をずらしてきた両展示会が一致団結し、来年の同時期開催が決定しました。

そんな波乱含みとなったSIHH 2019は、17の主要高級ブランドと18の独立系ブランドの計35社が出展。結果としては、例年より1日短縮した4日間の開催にも関わらず、2万3000人(昨年比15%増)の来場者を記録しました。これは、時計愛好家のニーズに応えるとともに、さらに潜在需要を掘り起こすため、過去の伝統や実績に安穏とせず新たな取り組みをした成果といえるでしょう。

SIHHの始まりは、高級時計ブランドの出展に特化し、来場もリテーラーやジャーナリストに限り、サロンと位置づけました。しかし昨年からコンセプトを変更。有料の一般公開日を1日設け、昨年は2500人、今年は約3000人の時計愛好家が来場しました。会場内に設けたオーディトリアムでは、基調講演や記者会見、パネルディスカッションやトークイベントがライブ配信され、さらにLABと名づけられたオープンスペースでは、出展ブランドが開発した最新技術をプレゼンテーションし、参加型ワークショップも開催しました。こうしたインタラクティブな発信を通して、SIHHがさらに魅力的に変わりつつあることを実感させたのです。

新作時計も時代の感性やライフスタイルを反映するとともに、各ブランドがオリジナリティを競います。

カルティエが発表した「サントス デュモン」は、1904年のオリジナルスタイルにオマージュを捧げ、飛行家アルベルト・サントス=デュモンのエレガンスを現代に受け継ぎます。薄型ケースには新開発のクォーツムーブメントを収め、ケースの厚みを抑えるばかりでなく、従来の2倍に当たる約6年間のロングパワーリザーブを誇ります。そして付け替えの容易なストラップ機構を採用。そこには初代オリジナルが追求した機能美とともに、“技術は美のために”というブランド哲学が貫かれます。

クォーツ、SSケース(38×27.5mm)、アリゲーターストラップ。日常生活防水/カルティエ


また、オーデマ ピゲにおいては25年ぶりにニューコレクションが発表されるなど、新時代を予感させる時計も登場しています。


取材・文 柴田充
Event Photography by Ryotaro Horiuchi

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