おしゃべりきものゴコロ。
2019/05/10
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一色采子さん「手持ちのきものが蘇る、買い足し術」2 - 手持ちきもので現代スタイルの作り方

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世界文化社から出版された『母のタンス、娘のセンス 一色采子のきものスタイルBOOK』。女優・一色采子さんの、誰にでも取り入れやすく、わかりやすいスタイリングの方程式は、きものコーディネートに困ったときの教科書というべき一冊です。対談第2回は本の中で紹介されている、一昔前のきものを現代的なスタイルに変えるコーディネート術をお伝えします。

 

第2回「手持ちのきものが蘇る、現代スタイルの作り方」

古谷:「譲り受けたきものをどう今っぽく着るか」がこの本のコンセプトですよね。お母さまのきものを“娘のセンス”で着こなす具体的な方法を教えてほしいのですが、まずは大島紬や結城紬などのシックな色目のものはどう着ますか?

一色:母の世代のきものには、八掛に朱色系を使っているパターンが多くて、それが古臭く見えてしまうんですよね。

古谷:昭和初期の流行りですよね。

一色:そうなんです。それに、シックな色のきもので八掛に朱がくると帯も合わせづらいので、八掛の色をきものに近い色に替えてもらったきものが何枚もあります。藍大島は紺色、泥大島にはグレーなど、同系色にすることでスッキリとして現代的な雰囲気になります。

古谷:表に出ているのはたった2ミリくらいなのに、きものとの色合わせが意外とポイントですよね。帯の色合わせという部分で現代的な着こなしのコツはありますか?

『母のタンス、娘のセンス』より

一色:ありますよー。白地で一見無地のような帯はとっても万能!これ1本ですべてのきものが着こなせると言っても過言ではないかと(笑)。今回出版した本の表紙と今日のコーディネートでは、きものは全然違いますが帯は同じものなんです。袋帯なのですが装飾が控えめなので合わせやすくて。

古谷:確かに、白は1本絶対に持っていたほうが良いですよね。柄も特に季節を問わない更紗っぽいものを選ぶと、時季にとらわれずに使えるので便利。

一色:昔はよく「染めのきものに織りの帯、織りのきものに染めの帯」なんて言ったものですが、こういう織り帯はやわらかものでも紬でも、きものを問わず合わせやすく大活躍しています。

古谷:私も重宝している白地の帯、持ってます(笑)。そして実は今日、私の母から譲り受けたピンクベージュの色無地を持ってきました。一色さんならどう合わせますか?

一色:ピンクの色無地は母親世代の定番ですよね。こういった格の高い唐織の帯と合わせるのは定番ですが、私はワントーンでコーディネートするのが好きなので、淡いピンクの袋帯なんてどうでしょうか。これは金糸なども入っていないので豪華すぎず、お出かけの幅も広がりますよね。

古谷:帯締めのブルーが効果的で、別のきものみたいにすっきりしますね。今度は反対に、帯をお母様のものでコーディネートするときのポイントはありますか?

一色:母が娘時代の帯は結構派手なものが多いのですが、紬など地味目のきものに合わせると素敵になりますよ。帯だけ見ると派手な気もするのですが、昔からいう「帯に派手なし」という言葉通り、自由に楽しんだらいいと思います。

古谷:私も「帯は心で選ぶ」というのが持論です。帯には趣味や嗜好性を出して自分らしく。これ好き!素敵って思って買った帯は不思議と何にでも合ってしまうんです。

一色:帯は自由自在ですよね。うしろ姿でものを言う!(笑)。思ってもみなかった組み合わせが突然ぴったりくることがあって、そんな時はウキウキしちゃいます。

 

次回は、女優 一色采子さんの「整理術でワードローブを管理する」をご紹介いたします。

 

今回の対談に関してのご意見・ご質問をお待ちしております。ぜひコメント欄からご投稿ください。

『母のタンス、娘のセンス』
<目次>

  1. 母譲りのアイテムをとことん着こなす
    • 母のタンスの渋味きもの着こなし術
    • 母のタンスのレトロ晴れ着の着こなし術
    • 母のタンスの個性派帯の着こなし術
  2. 娘のセンスで綴るきものダイアリー
  3. 娘のセンス、アイデア集/福島県二本松市の“私的”プチ観光ガイド
 

■定価:1,600円+税
■刊行:株式会社世界文化社


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古谷 尚子
Naoko Furuya

『家庭画報特選 きものSalon』編集長

1988年株式会社世界文化社入社。Men’sEx編集部でメンズファッションを担当後、書籍編集部でカリスマ美容家IKKOさんの単行本を3冊手がけ、いずれもベストセラーに。『MISS Wedding』『NEXTWEEKEND』の編集長を歴任。現在『きものSalon』の公式通販サイト「和美人百貨店」のプロデュースとバイヤーも兼務するマルチエディター。

一色 采子
Saiko Isshiki

女優

東京都出身。画家の大山忠作を父にもち、幼い頃からさまざまな芸事に触れて育つ。特技は日本舞踊と鼓、三味線、長唄。日本舞踊では坂東流名取として坂東晃祿の名を、鼓では藤舎彩子の名をもつ。主な出演舞台は、「三文オペラ マック・ザ・ナイフ」「リア王」「有頂天団地」「マクベス」「銀座復興」、踊りの才能を生かした『錦絵夏すがた』『風流 吹きよせ踊り』など。また、映像作品への出演も多く、連続テレビ小説「ノンちゃんの夢」、「凛凛と」「あぐり」「あぶない刑事」「相棒」「北アルプス山岳救助隊・紫門一鬼」など。

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