呉服部の若手バイヤーが「夢みる加賀友禅」をプロデュース
彩色だけで自然の情景を写実的に表現する加賀友禅はまるで芸術作品のよう。いつかは……と憧れを抱く方も少なくありません。
日本橋三越本店では毎年、加賀友禅の美しき世界をより多くの皆さまにお届けするために、加賀友禅作家と協働し新作きものと帯を創りあげ、新作展を開催しています。
今年のテーマは「夢みる加賀友禅」。
この企画をプロデュースしたのは、呉服部の若手バイヤー、櫛引はなです。今回はフレッシュな着眼点から築いたコンセプトや、この時期だからこそ大切にした、先生方と私たち日本橋三越本店のこだわりをお伝えします。
先生方との第一回打ち合わせは2020年、6月
「昨年初めてこの企画に参加し、約1年かけて先生方と加賀友禅のきものを創りあげていく中で、自分自身が加賀友禅の美しさにすっかり魅了されていました。また、先生方の気さくな人柄に触れ、身近に感じることもできました。
今年もこの企画を担当することになり、1回目の緊急事態宣言があけた6月に先生方と初めての打ち合わせがありました。
この先、いつになったらきものを楽しめるようなフォーマルな場や、お出かけのきっかけになるようなイベントが復活するのだろうかと不安はありましたが、大変な時期だからこそ、皆さまには明るいお気持ちでいて欲しいと強く思いました。私たちができること、それはやはりきものを着る楽しみをご提案し続けること、そして美しい世界をお披露目することです。先生方も同じ想いで準備が始まりました」
美しき加賀友禅、叶えられる夢としてお届けしたい
1回目の打ち合わせをもとにして、先生方には小下図を制作していただきます。柄の位置や描かれる草花の季節感などを確認。
「さらに言えば、その夢をもっと身近に感じてほしいと思いました。せっかく素敵だと思っても、留袖や訪問着は若い方や、きものに興味を持ち始めた方には、まだ先の夢になってしまうかもしれません」
その後、原寸大の本図案を制作。実際に身体に沿わせて、柄の配分や位置を確認します。
「それは昨年、私が感じたことでもありました。「加賀友禅が欲しい!」と思っても、世に出ている加賀友禅は礼装きものがメイン。自分自身のカジュアルメインの着用シーンを(価格面のことも…)考えると中々手を出すことができませんでした」
①
付下げの地色決め風景。ある程度色のイメージが決まったら、何種類もの色見本を広げて本図案に当てながら決めていきます。
②
地色、暈し、裾の色見本。とても微細な色調を見比べ、どの配色が最も美しいかを確認し、最終決定します。
「そこで今回は、訪問着のほかに、付下げと染なごや帯の制作もご依頼しました。お茶などのお稽古事をやっていらっしゃる方や、きものをカジュアルに日常で楽しんでいらっしゃる方にも加賀友禅のアイテムを楽しんでいただきたいという想いを込めて製作いたしました。」
「先生方が約半年もかけて制作した美術品ともいうべき作品、自分へのご褒美にできるご予算になったのではないでしょうか。
ぜひ、きものはじめの皆さまにも、叶えられる夢として、美しい加賀友禅の世界をご覧いただけたらうれしく思います」
きものはじめの方にも、ずっと愛してくださる皆さまにも。心を尽くしてご提案
完成品のお披露目会が昨年の12月に金沢で行われました。会が始まる前に毎田先生の工房で糸目体験。繊細な線画をなぞることの難しさを改めて感じました。
お披露目会では、先生方と改めて完成した作品を見ながらこだわりのポイントやお客さまにおすすめのポイントをお聞きしました。
「加賀友禅の作品を多種多様にご用意し、おしゃれの選択肢をより多くご提案したいと想い新作展を準備しています。こんなに多くの作品が見られる機会はなかなかないと思いますので、日本橋にお越しの際は、アートギャラリーに立ち寄る感覚で気軽に足を運んでいただけたらうれしいです」
掲載の作品に関して、新作展に関してのご質問はこちらから!
三越春のきもの紀行
2021年 三越好み 加賀友禅新作展 ~夢見る加賀友禅~
場所:日本橋三越本店 本館4階呉服フロア
会期:2021年2月10日(水)~2月23日(火・祝)
時間:10:00~19:00
※諸般の事情により、営業日・営業時間、予定しておりましたイベントなどが変更になる場合がございます。
毎田仁嗣先生による、加賀友禅マスクオーダー
きものにも映える加賀友禅の彩色を施したマスクの受注会を開催いたします。お好みの色柄をお選びいただき、毎田先生の工房にて手描友禅で製作後、お渡しいたします。
期間:2月10日(水)~2月23日(火・祝)
価格:18000円+税 生地:表地 絹100% 裏地 :ポリエステル100%
納期:約1か月半
※本マスクはウイルス感染やアレルギーの発症を完全に防ぐものではありません。エチケット用としてご使用ください。