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2021/10/01
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日本橋三越本店 ウォッチギャラリーSALON ―3 時計とのときめく出合い フリーアナウンサー 山本ミッシェ―ル

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第三回 ライフスタイルと共に時計選びが変化する


日本橋三越本店「第24回 三越ワールドウォッチフェア(2021年8月18日~30日)」
企画の第三回 ライフスタイルと共に時計選びが変化する

本会場にて、クロノス編集長 広田雅将さんと元NHK記者でフリーアナウンサーの山本ミッシェ―ルさんにお越しいただき語っていただきました。

ミッシェ―ル:コロナ禍で、仕事の内容や仕事のスタイルが大きく変化し、自分がこれから何をやっていくかを見直す時期に入っているように思っています。その最初の一歩が、時間がふわっと分かる時計を買うことでした。今までは時間に常に急かされ、いつも追われるように時計を見る生活を送ってきました。一日に時計を見る回数も多くて、それも秒針まで見る生活です。いまはひと段落して、忙しく仕事をしていた時には忘れていたことを少しずつ思い出しています。そしてもう少しゆっくり生きてみたいなと感じているんです。

広田:時計を着けないという選択肢はなかったのですか。

ミッシェ―ル:それは次のステップかもしれません。私が学生の頃、両親はまだドイツで暮らしていたのですが、ドイツに帰省すると、真っ先に時計を外していたんです。私の部屋には天窓があって、床に降り注ぐ太陽の位置が少しずつ動いている、まさに日時計の生活です。眺めながら一日中ぼーっとしていました(笑)。そして休みが終わり日本に戻って、またせわしない時間を過ごす、そんな学生時代でした。

広田:日時計の暮らしっていいですね。僕も仕事に追われる中で、時計を持たない選択肢はなくなっています。でも、ドイツのような生活は僕の理想です。

ミッシェ―ル:私も秒を刻む仕事をしていましたので、時間から解き放たれたい欲求があります。


コロナ下で見えてきたことがあると語るミッシェ―ルさん。次にやりたいことも明確になってきたと心弾ませます。

広田:秒単位の生活から解放されて、次のフェーズに入ったのですね。

ミッシェ―ル:そうです。そこで時計を変えたんです。秒針のない、かろうじて時間がわかる時計にしました。次はもっと時間が曖昧な時計を選んで、最後は日時計に戻るかもしれません(笑)

広田:いいですね。僕も、次買おうと思っている時計は、針が2本しかない。秒に追われないものです。

ミッシェ―ル:同じフェーズですか?

広田:そうかもしれません。以前は秒針がないと嫌でしたから。少し余談ですが、その人の時計が持つ機能を見れば、ライフスタイルやステイタスがある程度わかるんです。例えば、2針の時計を持つ人は、秒に追われない生活をしているということを暗示していますし、日付がない時計を持つ人は秘書が日付を教えてくれるのでしょう。だからドレスウォッチは時間がふわっとしかわかりませんし、ハイエンドな薄い金時計は2針でいいんですよ。

ミッシェ―ル:それは面白いですね。


広田編集長の解説付きで、ヴァシュロン・コンスタンタンに見入るミッシェ―ルさん。

人生のときめきを見つけるライフワーク

ミッシェ―ル:私も余談ですが、今年、本を2冊出したんです。そのうちの1冊がSDGsについての本です。SDGsって17項目のゴールがありますが、そこには意外と足りないものがあると共著の方と話したんです。そこで、それぞれが自分の18個目を設定しようじゃないかという話になりました。

広田:それは面白い発想ですね。

ミッシェ―ル:そこで私は18番目をモノづくりなどの伝統を絶やさないこと、としました。メディアに携わる私ができること、それは多くの人に伝統の美しさや魅力を伝えることです。これは私のライフワークにしていきたいことでもあります。私が伝統工芸の魅力を発信することで、たとえば、全く違う場で生活していた人が、自分が後継者になりたいと手を挙げるかもしれません。そうやって技術や文化をつなげるお手伝いができたら嬉しいです。

広田:時計も職人の世界ですが、時計はお金が入ったら買いたいと思う人たちが支えているので後継者問題は大丈夫だと思います。間口は決して広くはならないけど、循環ができています。僕がライフワークとしてやっていきたいのは、ミッシェールさんとかなり近いですね。最近、日本でもコツコツ時計を作る人があちこちにいるんです。そういう人が食っていけるようになって、例えば田舎で暮らして時計をつくってフェラーリに乗るみたいな事例が増えていくといいなと思っています。

ミッシェ―ル:折角の日本の伝統文化も分業の技術が歯抜けになってしまうことで続けられないケースもあると聞いています。さまざまな技術が途絶えることがないように、人と人をマッチングするお手伝いもしていきたいですね。


公平な視点で時計を評論するために、時計は多く持たないと語る広田編集長。

広田:そのためには地方で稼げて、地方が豊かにならないと駄目ですね。いまは地方から世界へモノづくりが発信できる時代ですから、実現できると思っています。そして我々も、地方が盛り上がっていくように応援したいですね。時計は、数は作れないけど、1本3,000万円もするものもあるので、成功例はつくれると思います。

ミッシェ―ル:私が以前取材させて頂いた鹿児島の会社経営者さんは、山を登った先の、海が見渡せる眺めの良い崖の上に会社を建てたんです。「なんでこんな街から離れたところに建てたんですか。不便ではないですか」と聞いたら、その方は「良いモノづくりをすれば、世界がこっちに来てくれる。社員が幸せで、良い環境でモノづくりをしたいから」と話されていました。確かにその通りで、最先端技術を持つその会社には別にわざわざ営業に行かなくても、世界がちゃんとそこまで来てくれていました。

広田:それが普通の時代が来るなと僕は思っています。

ミッシェ―ル:時代が変わっても残したいもの、伝えたいものは大切にしていきたいですね。

広田:僕もそう思います。今日はありがとうございました。

ミッシェ―ル:大変勉強になりました。ありがとうございました。

写真 奥山栄一


全三回の対談記事はいかがでしたでしょうか。
いつまでも変わらない「ときめき」は大切ですね。
記事や、「三越ワールドウォッチフェア」についてのご感想や、ご意見などコメント欄へのご投稿をお待ちしています

 

広田雅将さん

広田 雅将
Masayuki Hirota

時計ジャーナリスト・時計専門誌『Chronos日本版』編集長

1974年大阪府生まれ。会社員を経て、時計専門誌クロノス日本版編集長。国内外の時計賞で審査員を務める。監修に『100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』『続・100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』(東京カレンダー刊)が、共著に『ジャパン・メイド トゥールビヨン』(日刊工業新聞刊)『アイコニックピースの肖像 名機30』などがある。時計界では“博士”の愛称で親しまれており、時計に関する知識は業界でもトップクラス。英国時計学会会員。

山本ミッシェールさん

山本ミッシェール
Michelle Yamamoto

フリーアナウンサー、NHK国際放送局キャスター・レポーター、元NHK記者

父親の仕事の関係で、アメリカで生まれ、イギリス、日本、フランス、ドイツ、香港で過ごす。筑波大学比較文化学類比較文学を卒業後、NHKに入局。その後、記者からフリーアナウンサーに転身。現在、世界160の国と地域で放送中のNHK WORLD TV「Science View」や、Coco de Sica TV「 Sound States」にレギュラー出演中のほか、多数の番組にゲスト出演中。また、法政大学、和光大学、新潟産業大学(ネットの大学managara)で英語学、スピーチ学の講師をつとめている。最新の著書は「やさしい英語でSDGs」共著(合同出版)、絵本「ちよにやちよに~愛のうた、きみがよの旅~」翻訳・朗読(文屋)。また、バイリンガル、トライリンガル司会者として天皇陛下の即位礼正殿の儀をはじめ、オリンピック招致、G7サミット、アフリカ会議(TICAD)など数々の国際的イベントで活躍中。

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