Vol.3
「レガシーウオッチはさらに本格派に」
歴史や伝統はブランドそれぞれの固有のものであり、唯一無二です。だからこそ大切に育み、次世代へと生かしています。たとえばブランドの創業や代表作のデビューから節目となるアニバーサリーイヤーに、記念モデルを発表するのもそのため。今年の新作でもそうした話題作が登場しました。創業150周年を迎えたIWCは、記念モデルの他、現行コレクションにラッカー文字盤の限定仕様を設定。A.ランゲ&ゾーネは昨年他界した創業家4代目のウォルター・ランゲ氏を追悼する新作を発表し、ピアジェは極薄時計製造60周年を祝し、4.3mmという自動巻時計の世界最薄記録を更新しました。いずれも単なる復刻などではなく、換骨奪胎*1ともいえる新たな魅力に注目です。
IWC/IWC トリビュート・トゥ・パルウェーバー “150 イヤーズ”
¥2,700,000 / Ref.IW5050032
手巻、SSケース、ケース径45mm、3気圧防水、サントーニ社製アリゲーターストラップ
IWCは創業150周年を祝し、1884年に手がけた、「パルウェーバー」と呼ばれるデジタル表示のユニークな懐中時計を腕時計として現代に甦らせました。新開発の自社ムーブメントは、時分表示のディスクの駆動が独立した輪列になっているため、時計本体の輪列の駆動に影響を与えることなく、安定した精度と60時間のロングパワーリザーブを両立しました。
A.ランゲ&ゾーネ/1815“ウォルター・ランゲへのオマージュ”
¥5,767,200 / Ref.97.021
手巻、K18WGケース、ケース径40.5mm、3気圧防水、ワニ革ストラップ
初代ランゲが150年前に発明した技術に由来した、ジャンピングセコンド機構を搭載。機械式時計の秒針は通常、1秒を滑らかにスイープして動きますが、この機構は中央の秒針が目盛りをジャンプして進み、さらに2時位置のプッシュボタンで停止させることもできます。このスタート・ストップ機能付きステップ運針式センターセコンドは、創業者が1867年に発明し、2代目が実用化した技術であり、昨年他界した4代目ウォルター・ランゲならびにドイツ・ザクセン時計産業の祖、ランゲ一族にオマージュを捧げる傑作です。
ピアジェ / アルティプラノ アルティメート・オートマティック 910P
¥3,375,000 / G0A43120
自動巻、K18PGケース、ケース径41mm、2気圧防水
一般的な時計がムーブメントをケースに収納するのに対し、ケースをムーブメントの地板として一体化することで極薄を実現しました。ブランドメゾン創業140周年に当たる2014年、この画期的な構造をまず手巻式で採用し、新作では巻き上げローターをムーブメントの周縁を回転するペリフェラル式にすることで自動巻式にしました。
*1 詩文を作る際に、古人の作品の趣意は変えず語句だけを換え、または古人の作品の趣意に沿いながら新しいものを加えて表現すること。
※価格は全て税込み。2018年3月時点での予定価格です。為替変動などの諸事情により、価格が予告なく改定される場合がございます。
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