バーゼルワールド2018は、昨年に比べて出展ブランドが半減し、会期も2日短縮されました。そんなことから開催前には不安視されたものの、実際にふたを開ければ例年と変わらぬ充実ぶり。SIHH2018が高級時計に絞っているのに対し、バーゼルはよりライフスタイルに向き合い、時代の先鞭(せんべん)となります。そんな注目のトレンドと新作時計を紹介します。
Vol.6
「レガシーこそオリジナリティ」
時計の精度やクオリティは、技術革新によって拮抗し、実用レベルで他との差をつけることは難しくなっています。そこで各社とも注目するのが、自社独自の機構やデザインであり、なぜならそれは長い歴史や伝統に裏付けられた、唯一無二のオリジナリティなのです。とくに名門ブランドには、時代を開拓したエポックメイキングなモデルも多く、復刻によってあらためてそこにスポットを当てることが、ブランドステイタスにもつながります。そうしたレガシーをテーマにした新作が今年も多く登場しました。とはいえオリジナルをただ再現するのではなく、これをモチーフに現代的にアレンジしてこそ復刻に値するといえるでしょう。さらにそうすることで、ノスタルジーではなく、いまのライフスタイルや嗜好にマッチするのです。
<ブライトリング>ナビタイマー8 B01 クロノグラフ43 Ref. A008C-1WBA
自動巻、SSケース、ケース径:43mm、10気圧防水 896,400円
ブランドの新体制下、自社のヘリテージを再発見することでうまれたニューコレクションは、1938年に設立された航空計器開発部門「ユイット・アヴィエーション」から名付けられました。フランス語で8を意味する“ユイット”は、8日巻きに代表される当時の先進技術の象徴。ツートンカラーのダイヤルは自社開発キャリバー01搭載を誇示します。
<モリッツ・グロスマン>ベヌー37 Ref. MG-001545
手巻き、K18RGケース、ケース径:37mm、3気圧防水 3,456,000円
ドイツ伝統の機械式時計を現代に甦らせたブランドの復活から今年で10年を迎えました。新作は、控えめなサイズのケースに、クラシックなアラビック数字インデックスが美しく映えます。内製によって生まれるブラウンバイオレットの針は、期間限定の国内仕様としてスケルトンのドロップ型時針も用意され、気品と風格をさらに増しています。
取材・文 柴田 充
Enent Phoography by Ryotaro Horiuchi
*価格は全て税込み、2018年5月末日時点での予定価格です。為替変動などの諸事情により価格が予告なく改定される場合がございます。