歯車族バトン
2018/06/14
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フルキャストホールディングス平野「個性ありきの生き方と時計選び」4-どんな贅沢品だって本人次第で自分の分身になる

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第4回「どんな贅沢品だって本人次第で自分の分身になる」

広田:今日お持ちいただいた時計を見ると、長く愛用される傾向のようですね。

平野:そうですね。それこそ最初のロレックスは長男にプレゼントしましたから。確かに時計にも流行り廃りがあると思います。でも今でも「これが自分っぽいな」と思えば着けられますし。

広田:たとえ古い時計をいま着けても、自分自身がその時からブレてないから違和感がないんでしょうね。それが自分の履歴書みたいになっていくんですよね。

使用頻度が高いガランテ。白い時計はカジュアルな装いの時に楽しむという。   

平野:そういう意味では、先ほどの「ガランテ」に興味を持ったきっかけもそうでしたね。もう10年以上前、ある人から「セイコーの時計をしているのが一番無難だから、セイコーの時計をしなさい」と言われたんです。やっぱり日本のエスタブリッシュメントの諸先輩方たちはセイコーの時計をしているので、それさえしていれば「お前は生意気だ」と言われることはないと。でも当時は「こんなおじさんみたいなの」と思って。そしたらたまたま「ガランテ」に出会ったんですよ。「これ格好いいじゃねぇか、それにセイコーだもんな」と思って買ったんです。

広田:セイコーだからいいだろうと、「ガランテ」を選ぶってすごいですね(笑)。反骨というか。ところでいま所有されている時計は、リシャール・ミルからルイ・ヴィトンのコネクテッドまで、それこそ価格もタイプもさまざまですが、ご自身にとって贅沢品に対する定義ってありますか。

平野:今の自分よりもそのステイタスが上だなと思うものは贅沢品だと思いますね。たとえば時計でも、自分の身分不相応のものを身に着けたり、もしくは購入したら、それに追いつかなきゃいけないと思うので。

広田:それは価格の多寡じゃなくて。たとえばまったくギターの弾けない人が、10万円のギターでもすごく高い、贅沢品だと思うのと同じような感覚でしょうか。

平野:そうですね。おっしゃる通りで。弾けない限りはどんなギターだって贅沢品なのでしょう。でもそこで必至になって練習して、ちゃんと弾けるようになれば、その時には贅沢品ではなくなって、自分の分身になるのかもしれないですよね。

広田:それを聞くと、平野さんの時計選び、というか人生に対する向かい方は、最初の「デイトナ」から何にも変わっていないんだろうなと思いました。きっちりベースがしっかりしていて、人とは違うもの。そこに価値を見据え、付き合いを深めていくというか、そのことをすごく思いました。

平野:そういう風に言っていただけると嬉しいです。ちょっと照れますが。

 

今回で、フルキャストホールディングス 取締役会長 平野岳史氏との歯車族対談は終了です。
次回は、リスト株式会社 代表取締役 北見尚之氏の歯車族対談をご紹介します。

第1回

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広田雅将さん

広田 雅将
Masayuki Hirota

時計ジャーナリスト・時計専門誌『Chronos日本版』編集長

1974年大阪府生まれ。会社員を経て、時計専門誌クロノス日本版編集長。国内外の時計賞で審査員を務める。監修に『100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』『続・100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』(東京カレンダー刊)が、共著に『ジャパン・メイド トゥールビヨン』(日刊工業新聞刊)『アイコニックピースの肖像 名機30』などがある。時計界では“博士”の愛称で親しまれており、時計に関する知識は業界でもトップクラス。英国時計学会会員。

平野岳史さん

平野岳史
Takehito Hirano

フルキャストホールディングス 取締役会長

1961年神奈川県生まれ。神奈川大学経済学部卒業後、金融関係の会社に就職したが3年で退職。その後アルバイト生活を送るが、87年に家庭教師の派遣ビジネスで起業。92年に株式会社フルキャストを設立し、軽作業請負事業を開始。04年9月東証一部上場。その後は取締役会長に就任し現在に至る。

第1回
 
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