歯車族バトン
2018/12/14
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TOKYO BASE社長 谷「確実性と挑戦の絶妙なバランス」4- 未来のヴィンテージを楽しみ、つなげていく

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第4回「未来のヴィンテージを楽しみ、つなげていく」

広田:ロレックス、特にヴィンテージに魅力を感じる理由は何でしょう。

谷:時計に限りませんが、10年後も最新であること。スニーカーなら、アディダスのスタンスミスやコンバースのオールスターはきっと10年後も、20年後も新しいんですよ。ヴィンテージのロレックスも常に最先端の感度の高い人が着けるでしょうね。

広田:ただファッションの世界では、トレンドを作らないと商いにならない。そこのバランスはどうやってとられていますか。

谷:非常に難しいところですね。一方で僕はすごくミーハーな部分もあるので、常に両軸を走らせているという感覚でしょうか。ただそれを中途半端にやらない。トレンドだったら旬に振り切る。定番なら徹底的に絞り込むというように。

広田:ぜひ聞いてみたかったんですが、いま時計を着ける意味って何でしょうね。

谷:人と人とのコミュニケーションツールだと思います。僕自身は時計を着けていても、スマホで時間を見ますし、ゼンマイを巻き忘れて時間が狂っていることもよくあります。でもまだ勤めていた頃、成績を上げて会社に貢献したご褒美に、社長が愛用していたブライトリングのヴィンテージ・ナビタイマーをくれました。その頃は嬉しくてそれをずっと着けて。周囲からは「それは時計じゃなくて手錠だ」なんてからかわれましたが、その社長には起業時に出資してもらい、上場もして。それがなかったら今の僕はありません。


ビッグ・バン アエロ・バン/文字盤を省き、空気が流れるようなオープンワークを施したムーブメントから命名された。

広田:谷さんも、所有するウブロはいつか誰かにあげようと。

谷:そうですね。でもそれが記念なのか、期待なのか、手錠なのか(笑)

広田:ところでファッションにおいて、時計はどういう役割を果たすと思いますか。

谷:いい時計を着けると、たとえファストファッションでも正当化されます。その点では靴とちょっと似ているかもしれません。洋服が締まるというか。でも逆にいいスーツを着ていたとしても時計が見合ってないと、信頼感が湧かないというか、嘘っぽく見えてしまいます。時計で人を判断するわけじゃないですが、その材料のひとつにはなりますね。もちろん値段の多寡ではなく、時計の選び方であり、雰囲気や身の丈に合っているということで。

広田:同感ですね。時計を見れば人柄が想像できますし、意外と外れないんですよ。谷さんの時計もそう。それに今日のファッションもヴィンテージのテイストで統一するのではなく、スポーティカジュアルなトレンドを入れ、両極端を楽しまれている。

谷:照れますね。

広田:その感性って大切だと思うんです。ヴィンテージの名品にしても、出た当時はそんなに注目されなかったと思うんですよ。時計に限らず、クルマでも楽器でも。当時の人はあまり意識せず、使い込み、愛用することで評価が高まった。谷さんご自身がやろうとしているのは、もしかしてそういうことではないでしょうか。

谷:そうですね。今はまだそこまでできていないですけれど、これからのチャレンジとして、未来のヴィンテージにつなげていきたいですね。

 

取材・構成 柴田 充
写真 奥山 栄一

日本橋三越本店 ウオッチコンシェルジュ
立花 典子

歯車族バトンの中で最年少の谷様、お仕事に対する考え方にブレがなく、バランス感覚を大切にされている感じがしました。時計の選び方もデザイン的に格好良いという基準の中にも他者から見られた時に認知されるような物を選んでいて、バランス感覚が反映されているように思います。谷様が10年後にどのような時計を選ぶか興味深いです。

 

今回で、TOKYO BASE代表取締役CEO 谷正人氏との歯車族対談は終了です。

今回の対談に関してのご意見・ご質問をお待ちしております。ぜひコメント欄からご投稿ください。

広田雅将さん

広田 雅将
Masayuki Hirota

時計ジャーナリスト・時計専門誌『Chronos日本版』編集長

1974年大阪府生まれ。会社員を経て、時計専門誌クロノス日本版編集長。国内外の時計賞で審査員を務める。監修に『100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』『続・100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』(東京カレンダー刊)が、共著に『ジャパン・メイド トゥールビヨン』(日刊工業新聞刊)『アイコニックピースの肖像 名機30』などがある。時計界では“博士”の愛称で親しまれており、時計に関する知識は業界でもトップクラス。英国時計学会会員。

谷 正人さん

谷 正人
Masato Tani

TOKYO BASE代表取締役CEO

1983年生まれ、静岡県浜松市出身。中央大学商学部卒業後、2006年に(株)デイトナインターナショナルに入社。翌年事業部長としてSTUDIOUS業態を立上げて、2009年には同社STUDIOUS事業部 事業部長を経て退職、MBOにて独立。2009年に(株)STUDIOUS 代表取締役として事業開始。2015年3月新業態UNITED TOKYOを立ち上げ、同年9月アパレル業界史上最年少で東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たす。2016年6月、株式会社STUDIOUSから株式会社TOKYO BASEへ商号変更。2017年2月に東京証券取引所第一部へ上場市場変更。2018年3月新業態PUBLIC TOKYOを立ち上げる。現在に至る。

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